能登半島の切り出し珪藻土七輪

NOTONEN

NOTO NENSHOKI

KOGYO

能登燃焼器工業

能登半島地震における弊社の現状報告

 このたび発生した令和6年能登半島地震により、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様ならびにそのご家族の方々に、心よりお見舞い申し上げます。 現在、弊社の電話回線が仮復旧したため、お電話による応対が可能となりました(FAX利用不可)。

 

  なお、弊社の被災状況について、お問い合わせをお受けすることが多いため、現状をお知らせいたします(令和6年3月19日時点)。 弊社は、地震やそれにともなう土砂崩れ、地割れなどにより、建物はその大半が全壊しており、利用できるものは残っておりません。また、生産設備や商品(仕掛品含む)はそのほとんどが倒壊した建物や土砂の下敷きとなっております。原材料の珪藻土の採掘坑道も土砂崩れにより埋もれております。したがいまして、弊社では原材料の採掘から出荷に至るまでの全工程の機能をほとんど消失している状態です。

 

 全従業員の安否については無事が確認できておりますが、各々の家庭では甚大な被害を受けております。報道されているとおり弊社が所在する石川県珠洲市は、地震や津波、土砂崩れなどにより壊滅的な被害を受けており、上下水道などのインフラの復旧も大幅に遅れております。

 

 弊社では近年続く地震により大小の被害を受けていたところ、その都度業務継続を目指し復旧してまいりました。しかしながら、今回の地震については、被害が甚大であり、復旧の糸口さえ見つかっておりません。また、弊社は令和4年に珠洲市の無形民俗文化財に指定された「珪藻土切り出し技術」を保持し、これにより原材料の採掘を行っているところ、業務の安全性を確保することも困難です。 以上のことから、現時点で事業再開の目処は立っておりません。関係者の皆様には、現状について、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

 

 最後に、能登半島は過去の地震活動により、海底が隆起して誕生したともいわれています。私たちはその恩恵を享受して、これまでこの土地で暮らしてきました。自然相手ですから得るものがあれば失うものもあります。いつまでも下を向いているわけにはいきません。能登半島は必ず復興します。その間、この土地をあたたかく、時には厳しく見守っていただきますようよろしくお願い申し上げます。

火のある暮らし

LIVING WITH

 FIRE

能登半島・珠洲市(すずし)に古くから受け継がれる”切り出し七輪”(切り出しコンロ)と呼ばれる火の道具は、地中の珪藻土(けいそうど:珪藻と呼ばれる植物プランクトンが堆積してできた岩石)を職人がノミを用いて切り出し、一つ一つ手作業により丁寧に成形・焼成などを行い作られます。

能登・珠洲の珪藻土は、成形性に富み、多孔質で優れた断熱性(熱効率)を有することなどから、長年、多くの人々の火のある暮らしを支えてきました。その利用の歴史は、1000年を超えるともいわれます。

 

切り出し

七輪

工場近くの坑道から、珪藻土を掘って切り出し、削って成形したものを「切り出し七輪」といいます。私たちは昭和初期、まだ煮炊きが炭や薪で行われていた頃から、この切り出し七輪を作り続けています。

 

奥行き数百メートルの坑道の奥で、珪藻土の壁を七輪のサイズに合わせて切り込みを入れて、”打ち剥がして”いきます。端がした固まりを、まだ水分が残る柔らかいうちに製品サイズに削り、成形してきます。この成形作業は様々なかんなを使い分け、手作業で職人が行います。最後に釜で焼成して、着色や金具を取る着ける行程を経てようやく完成します。

 

珪藻土は焼かれることにより、多孔性の素材に変化し、この微細な穴が断熱性を高めます。このことにより切り出し七輪は熱が逃げにくく、炭が発する遠赤外線をより効率的に食材に加える事ができ、早く食材の中心まで熱を加えることが可能です。

 

DIATOMACEOUS

COOKING STOVE

THE STORY OF

TURE

CRAFTSMANSHIP

切り出し七輪は"こうして作られる"、と一言で語るのは難しい。

MINING

WORK

坑道・切り出し

”そらのいろ、かぜのにおい、そんな時の流れが届かない世界”

切り出し職人の仕事は、毎朝ノミを持ち数百メートル奥深く続く坑道へと向かうところから始まる。岩肌から染み出した水でぬかるんだ坑道内は、全長数キロにも及び地中深く迷路のように枝分かれして掘られている。

 

目的地に着いた職人はノミを手にし「岩切り」を始める。古来この土地の人々は珪藻土のことを岩と呼んでいたことから、今でも珪藻土の切り出しを「岩切り」と呼んでいる。切り出しには鉄砲ノミ(形状がてっぽうに似ている)と形状を整える平ノミを用いる。この二種類のノミを使い分け、地中を切り進む。

 

切り出す珪藻土は最終的な製品の大きさに合わせた塊に切り出す必要があるが、天然地層のため不規則な亀裂があり、そう簡単には切り出すことは出来ない。岩切りされた珪藻土の塊がある程度まとまると、地上へと運ばれ人の手による成形行程にはいる。

 

岩切り職人は地表の光をほとんど見ることなくその一日を終えるという。そんな時の止まったような坑道の奥深くで、今日も職人は岩を切り続けている。

 

成形・焼成・仕上げ

”まなぐこと、それは一人前の職人技”

坑道から切り出された珪藻土の塊は、まだ水分が残った柔らかいうちに七輪の形に成形していく。代表的な角型七輪を成形する際は、初めに平ノミにより外形を「まなぐ」。まなぐというのは、外形を平らに整える基本的な削りの技術で、この技術は長年継承されてきたもの。一つ間違えば、苦労して切り出した珪藻土の塊を一瞬にして無駄にしてしまうような繊細な作業だが、職人はなんの迷いもなく数ミリの精度で削っていく。外側の削り作業が終わると、七輪の内側の部分も丁寧に削られていく。

 

珪藻土の塊だったものが、七輪の形へと成形され、次は焼きの作業(焼成)にはいる。二晩かけて薪を使い専用の釜で焼く。この際二時間おきに薪をくべなくてはならない。また焼くものによりその焼き加減を変えるので、釜の様子を常に伺っていないといけない。こうして焼きあがった七輪は水分が完全に抜け、珪藻土の塊だったときと比べると半分の重さになる。

 

最後は仕上げの作業に入る。手作業で七輪の着色、金具の取り付けを行い、最終的に珪藻土の切り出し七輪が完成する。

 

いずれの行程も職人の技術によりなせる繊細な作業。能登半島では古くから珪藻土をかまどや炉の材料に利用してきた。最盛期は20から30社あった切り出し七輪の工場は今は数社となり、伝統を受け継いできた職人もまた少なくなっている。

 

KEISODO KIRIDASHI SHICHIRIN

FROM

NOTO PENINSURA

火が食材の中まで均等に入り 美味しく焼ける

少しの炭でも 効率よく煮炊きができる。

外は パリッと、中はしっとりと魚が焼ける。

こんな言葉を切り出し七輪をお使いになるお客様から頂きます。ガスや電気での調理が当たり前になった現代で、こうした言葉をいただける事で、私達が昔ながらの手作業で作る切り出し七輪が、現代において再び形を変え意味のあるモノとして存在しているのだと気付かされます。

 

私達は、切り出し七輪が煮炊き道具の中心であった時代からこれらの製品を作り続けています。私達が作る多種多様な切り出し七輪製品をぜひご愛用ください。

WE ARE

OF OUR PRODUCTS

PROUD

私ども能登燃焼器工業は先祖代々この能登の地で切り出し七輪を作り続けてきました。

 

一つ一つ手足業で作られる七輪は、職人の高い技術の元に形作られ、一般のご家庭で使用できる七輪から、

ニーズにあわせたプロユースの特注七輪まで幅広く制作しています。

 

 

製品のご案内やご購入などについては下記までお問い合わせください。

能登燃焼器工業 株式会社

TEL(0768)82-0569 FAX(0768)82-0552

〒927-1216  石川県珠洲市上戸町寺社26-2

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